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近代化遺産建築物 江波山気象館の本館建物は旧広島地方気象台の庁舎を保存利用しています。昭和9年に建築 されたこの建物は、縦長の窓、壁面の横帯や各部の凹凸の装飾など戦前の建物の特徴と、単純 な幾何学的デザインや、玄関ポーチの薄いひさし、片方だけの柱など斬新な特徴とをあわせもっ ています。 また、建築当時は価格の高かった石材の使用を抑えるため、セメントに石の粉を加えた「人造石」 を多用するなどの工夫により石造りのイメージを持たせたつくりになっています。内部にも左官職 人の手間と労力がうかがえる装飾の数々がみられ、当時の建築技術水準の高さを知ることがで きます。 昭和初期に建築された建物は、老朽化などの理由により、次々と取り壊され新しいビルへとすが たを変えています。 このような時代の流れのなかで、日本の建築技術が欧米の建築技術に追いついたころの代表的 な建物である江波気象館本館の建物は、日本の建築技術の発達を示す「近代化遺産」として建 築の専門家からも高く評価されています。 |