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江波山気象館 メールマガジン
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2008年 3月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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今年も桜の開花便りが届きました
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 今年も桜の咲く季節になりました。広島では3月25日に開花が確認されました。気象庁では1953年から植物が花を咲かせたり、紅葉したり、動物が初めて姿を見せたり鳴いたりした日を記録していて、この観測項目のひとつにサクラの開花も入っており、沖縄や奄美、北海道以外ではソメイヨシノで開花日を調べています。観測は毎年同じ木を使って行われていて、その木に5〜6輪以上の花が咲いた日を開花日と言います。
 広島では広島市内の縮景園にある数本の木が基準木として決められています。(広島では1987年に広島地方気象台が江波から上八丁堀に移転したため、基準とする木が変更されました。)このソメイヨシノ、実は興味深い特徴を持つ植物なのです。まず一説によると日本中の桜の、実に約8割がソメイヨシノというぐらい、日本中にたくさん植えられています。
 そして、ソメイヨシノは接ぎ木で増やすので、すべてのソメイヨシノが同じ性質を持っている(クローン)と考えられています。
 このソメイヨシノの持つ特徴と50年以上に及ぶ開花日の観測記録は、私たちの身の回りの環境の変化を考えるのに非常に適していると言えるのです。
 このことを実際の現象に当てはめてみましょう。
 今年全国のソメイヨシノで一番早く開花が観測されたのはどこでしょうか?暖かい南九州の気がしますが、実は昨年に引き続き2年連続で東京の都心(千代田区・靖国神社)でした。
 実はソメイヨシノが咲くためには、冬は冬らしい寒さと春は春らしい気温の上昇が必要になります。(ですので、沖縄では基本的にソメイヨシノは咲きません。)
 どうやら、もともと暖かい南九州では近年、冬の寒さがソメイヨシノにとって十分ではなく、開花が若干遅くなる傾向があり、一方都心では都市の出す熱(ヒートアイランド現象)なども影響し開花が早くなる傾向があるようです。
 昔に比べて桜の咲くのが早くなっていますが、(気象庁の観測による全国89地点のソメイヨシノの開花日データで見ると、現在の平年値(1971年〜2000年の間の平均の値)と比較して1953年〜1988年の平均では0.1日遅く、1989年〜2000年の平均では3.2日早くなっています。)近年、いわゆる「桜前線」が暖かい南の方から進んでくるという概念も崩れつつあるということになります。
 このように桜の開花一つをとってみても様々なメッセージが含まれています。桜を愛でながら、私たちを取り巻く身の回りの環境のことも一緒に考えてみてはいかがでしょうか。