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江波山気象館 メールマガジン
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2010年 1月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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タンポポ
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 春になると花を咲かせる植物といえば、サクラ、タンポポといった名前が挙がると思いますが、今回はタンポポについての話題をお知らせしたいと思います。

 道路わきや畑など私たちにとって身近な場所で見ることができる植物ですが、実はいくつか種類があり、大きく分けると日本に昔から生えていた在来のタンポポと、明治時代頃に外国からやってきた外来のタンポポの2種類にわけることができます。アスファルトの割れ目にもしっかり生えているのは外国からやってきたセイヨウタンポポやアカミタンポポです。もともと日本に生えていたカンサイタンポポやカントウタンポポは、土の入れ替えがあまり行われていない場所(川土手や古くからある畑や公園など)をさがさないとなかなか見つかりません。

 外国からきたタンポポか、昔から日本にあるタンポポかを見分けるためには花(の集まり)の付け根にあるガク(のような部分)で見分けます。ガク(のような部分)が花(の集まり)にくっついているのが在来種、はなれて反り返っているのが外来種です。調べてみると、私たちが日ごろよく見るタンポポはほとんど外国から来たタンポポであることに気づきます。江波山気象館のある広島で在来のカンサイタンポポは、町の中心部から少し離れた山や郊外、あるいは広島城の本丸などで見つけることができます。なぜ、このように在来のタンポポたちの生えている場所が限られてしまっているのでしょうか。それは、彼らのふえ方の違いによると考えられています。

 カンサイタンポポやカントウタンポポは周りに仲間がいないと種を作ってふえることができませんが、セイヨウタンポポは周りに仲間がいなくても自分だけで種を作ってふえることができるのです。ですから、人間たちによって土の入れ替えが行われた場所に新たにふえるには、外来のタンポポの方が有利なのです。一般には、たくましいセイヨウタンポポが、在来のタンポポを押しのけているというイメージが持たれていますが、実は人間の活動がセイヨウタンポポに加担しているのですね。

 ちなみに、同じ在来種でも、白い花を咲かせるシロバナタンポポはセイヨウタンポポのように1本でも種を作ってふえることができます。江波山気象館のある江波山にもシロバナタンポポは生えていますが、まわりの道路の植え込み沿いでも次第にふえていますから、やはり仲間と離れたところに生えてしまっても種を作って子孫をふやせるという特徴が活かされているのかもしれません。

 さて、タンポポは生物季節観測でも全国で調べられていますが、この対象となる種は昔から日本に生えている在来のタンポポです。広島地方気象台では、カンサイタンポポで花の咲く時期を毎年調べています。

 今は春に向けて葉だけを残し、地面の上で目立ちませんが、2月、3月になると次第に葉と葉の間でつぼみが育ち、やがて3〜5月には小さな太陽のような花を咲かせます。

 今は、暦の上では、大寒が過ぎ節分を迎えるまでの一番寒い時期にあたりますが、小さなタンポポの花が咲くときを楽しみに春を待ちたいものです。