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江波山気象館 メールマガジン
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2013年 6月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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梅雨の表情
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 今年もまた梅雨の季節がやってきました。今年の梅雨入りは、中国地方では5月27日ごろで平年よりも11日早まりました。九州から関東甲信でも10日前後早まり、沖縄では5日ほど遅くなっています。しかし、当初の雨空はどこへ行ったのか、その後雨の降らない日が多く、今のところ空梅雨気味になっています。この梅雨入りの日はあくまで速報値ですので、梅雨の季節が過ぎてから実際の天候経過を考慮して、確定値を変更することもあります。
 ところで、梅雨になると困るのが洗濯物です。中々乾かず、ひょっとするとカビまで生えてくるかもしれません。一説では、梅雨はカビが生えやすくなる期間であることから、「黴雨(ばいう)」としたのを、ちょうど梅の実が熟す頃と重なることから、「梅雨(ばいう)」としたというものがあります。
 天気と一緒に気持ちも沈んでしまいがちな季節ですが、そんな梅雨にもいくつかの表情を見ることができます。例えば、雨の降り方です。一つは、シトシトと降り続け、いつやむのかわからない「シトシト型」の雨。これは陰性梅雨と呼ばれています。梅雨の前半、特に東日本や北日本で多くみられます。もう一つは、急に降ってきたかと思うとどしゃ降りになり、降り終わるとサッと晴れ間をのぞかせる「ザーザー型」の雨。これは、陽性梅雨と呼ばれ、特に西日本で多く降ります。梅雨の後半になると東日本でもみられるようになります。
 梅雨の雨は土砂災害も引き起こします。「シトシト型」と「ザーザー型」の雨をイメージすると、「ザーザー型」の集中豪雨の方が土砂災害を引き起こしやすく、「シトシト型」なら安全だと思うかもしれません。しかし、梅雨の「シトシト型」は弱い雨が長時間降り続けるため、土砂災害を引き起こす可能性があり注意が必要です。
 梅雨というと、毎日雨が降っているイメージがありますが、実際はそうではありませんね。晴天が顔をのぞかせ、溜まった洗濯物を一気に片づけたくなる、そんな梅雨の中休みがあります。梅雨の中休みにも実は種類があり、一つは高気圧が本州を覆い、梅雨前線が南に逆戻りして、過ぎ去ったはずの五月の晴天がやってくるものです。もう一つは、南の太平洋高気圧が一時的に強まる、日差しの強い夏の空です。
 梅雨の風景に華を添えるのは、アジサイです。梅雨に入ると花開き、緑から白、そして青や紫、赤に変化します。この色の変化は、アジサイに含まれるアントシアンという色素の影響です。アントシアンは土壌が酸性かアルカリ性かによって、発色する色が変わります。植える場所を変えると色も変わってしまった、というのはこの仕組みのためなのです。
 憂鬱な梅雨の空ですが、このほかにも様々な表情を持っています。よく観察してみると、少し梅雨のことを好きになれるかもしれません。