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江波山気象館 メールマガジン
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2013年 11月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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冬将軍がやってきた!
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 今月11日には東京地方で木枯らし1号が吹き、同日には東北各地や長野で初雪が観測されました。テレビなどでは冬将軍到来!と言われていましたね。この木枯らしや初雪をもたらした冬将軍は、主に冬型の気圧配置が強まることで日本にやってきたシベリア寒気団が原因です。しかしまだ冬型の気圧配置は長続きせず冬将軍もすぐに去っていきます。
 さて、「冬型の気圧配置」とはどのような状態なのかというと、ユーラシア大陸側に高気圧、日本の東海上から千島方面に低気圧がある気圧配置のことです。よく西高東低の気圧配置と呼ばれています。この気圧配置のときには、ユーラシア大陸から日本に向かって吹いてくる冬の季節風は日本海を渡る時に水分を含みます。その水分を含んだ空気が山にぶつかり日本海側に雪を降らせることで、太平洋側に乾いた風をもたらすのです。仕組みは前回配信した「フェーン現象」と同じですが、今回は日本海側の気温が低いため太平洋側に吹く風は温度があまり上がらず、太平洋側の元々の気温よりも温度が低い風が吹くことがあります。このような場合をフェーン現象ではなく「ボラ現象」と言います。
 冬型の気圧配置になったときに吹いた風が秒速8m以上になると、「木枯らし」と認定されます。木枯らしの語源は正確にはわかりませんが、「木嵐」からきているという説があります。秋の終わりの頃、地域によってはまだ紅葉も終わっていない時期に吹く木枯らしは、その綺麗な木々の葉を散らす、まさに「嵐」です。
 ところで、時にこのような木枯らしを吹き荒らす冬将軍は、どうして「将軍」というのでしょうか。実は、フランスの皇帝ナポレオンに由来しています。1812年にナポレオンはロシア遠征を行いましたが、そのロシアの厳しい寒さのため敗退をよぎなくされてしまいました。その際、イギリスの記者が「ナポレオンがgeneral frost(=厳寒将軍)に負けた」と表現したと言われており、これを日本では「冬将軍」と訳したのです。generalは将軍の他に大名や殿様といった訳もできますが、ナポレオンを打ち負かす程の強さですから、将軍という表現がぴったりだったのかもしれません。
 冬将軍が去ると穏やかな小春日和がやってきます。そしてまた木枯らしが吹き、小春日和になり・・・と繰り返しながら、これから徐々に冬将軍が力を発揮して本格的な冬へと突入します。今年の冬の気温は全国的に平年並みか低くなる見込みです。風邪をひかないようにお気を付けください。