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江波山気象館 メールマガジン
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2015年 6月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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暑い地域の、暑い日〜インドの熱波〜
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 5月下旬、日本列島は高気圧に覆われ全国的に非常に暑い日が続きました。5月27日には、気象庁が気温を観測しているおよそ900地点のうち、250近い地点で日最高気温30℃以上の真夏日を観測し、猛暑日の基準となる35℃に達しようかという地域もありました。
 同時期の5月21日から31日にかけて、日本以外にもインドで非常に暑くなり、中部を中心に合計で2,300人以上もの人が死亡したと伝えられました。熱波(インドでは最高気温が平野部で40℃以上かつ平年よりも5〜6℃高くなる現象)に見舞われ、日最高気温は広い範囲で平均42℃以上となり、北部や中部では平均45℃以上となった地域もありました。最も被害を受けた南東部のアーンドラ・プラデーシュ州では、22日から27日の6日間連続で日最高気温が50℃近くなる事態となり、多くの犠牲者がでました。内陸部にある首都ニューデリー市街では、横断歩道の塗装が溶けてしまうほどでした。
 5月頃というと、インドでは雨季の前にある夏にあたります。5月の平均気温は、ニューデリーで32.7℃、日最高気温の平年値は39.8℃と、強い日射が続くためとても暑くなります。夏が終わり大規模な季節風であるモンスーンが吹き込むと、インド洋から流れこむ水蒸気によって活発に雨雲が発生し、雨季となります。そのため、日本の夏にあたる7〜8月頃には5月よりも暑くなることはあまりありません。
 普段から気温が高くなる5月ですが、今年はどうして50℃近くまで気温が上がるような猛暑となったのでしょうか。それは、例年なら降るはずのにわか雨が降らなかったためです。夏になり暖かくなった空気が上昇し雲が作られる対流活動が、今年はインドの東部に位置するベンガル湾上空で活発となりました。それに伴って、陸地であるインド上空では下降気流が強くなったため、雲が発生しにくい状態となりました。そのため雨で暑さを和らげることができなかったので、熱波の影響が強くなり多くの被害が出てしまいました。
 しかし、今回の熱波の被害が大きくなったのは、気温が高かったことだけが原因ではありません。被害が大きかったアーンドラ・プラデーシュ州は、海沿いの地域で湿度が高い地域でした。あまりにも湿度が高いと汗をかきにくくなることから熱中症にかかりやすいため、より被害が拡大したと考えられます。被害は主に貧しい農村部に集中していて、厳しい暑さの中、屋外で働いていた人たちが多かったそうです。
 日本では6月に入り梅雨となりましたが、晴れるとやはり最高気温が30℃を越える日もあります。日本の夏も高温多湿で熱中症にかかりやすいです。十分気をつけて過ごしたいですね。

2015年5月下旬のインドの熱波について (気象庁HP):
http://www.jma.go.jp/jma/press/1506/02a/world20150602.html