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2016年 5月号 |
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ |
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梅雨の言葉いろいろ |
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5月も終わりにさしかかり、真夏のように暑い日もあれば、雨が降ってぐっと寒くなる日もあります。沖縄や奄美では5月16日ごろに梅雨入りとなりました。他の地域では梅雨入りはまだですが、九州〜本州にかけての地域で数日くもりや雨が続くことがあります。このような、梅雨に先立って雨が降り続き、ぐずついた天候が続くことを「走り梅雨」といいます。西日本では、ちょうど沖縄や奄美が梅雨入りした今の時期に多いです。 「走り梅雨」や「梅雨の走り」は初夏の季語で、俳句にも用いられています。同じような意味の言葉に「卯の花腐し(うのはなくたし)」という言葉もあります。卯の花(ウツギ)は旧暦4月(現在のおよそ5月)に盛りを迎えるため、卯月と名づけたとも言われる花です。その卯の花が、うなだれるようにくたくたになってしまうほど長い雨が降ることを卯の花腐しと言います。 梅雨に関する言葉には、他にも様々なものがありますのでいくつか紹介します。まず、梅雨の別名である「五月雨(さみだれ)」は旧暦5月に降る雨のことです。松尾芭蕉の「五月雨をあつめて早し最上川」という句が有名ですね。語源は諸説あるようですが、一説には古語の「さみだる」が元になっており、「さ」は神の接頭語、「みだる」はお下がりになるという意味だそうです。天から貴重な水が下がってくるということですね。 梅雨に入り寒くなることは「梅雨寒(つゆざむ)」と言います。特に東北地方では「やませ」と呼ばれるオホーツク海高気圧から吹く冷たく湿った風が長く続くと、冷害の原因となり稲作などに大きな被害を及ぼします。 また、梅雨に代表される植物というとアジサイを思い浮かべますが、その他に梅雨という言葉がつく「梅雨葵(つゆあおい)」があります。タチアオイの別名です。江戸時代には、梅雨入りの頃にタチアオイが茎の下の方から咲き始め、上に向かってのぼっていき、上の方まで咲いたら梅雨明けという言い伝えがありました。 さて、平年通りだと多くの地域で梅雨期間に七夕があります。雨が降ると織姫と彦星が会えなくなってしまいますが、その七夕に降る雨のことを「洒涙雨(さいるいう)(もしくは催涙雨など)」と呼びます。一年に一度しか会えない織姫と彦星が再会できずに流す涙と言われたり、二人が別れを惜しむ涙とも言われています。ただし、正確には旧暦7月7日に降る雨のことを指すので、西暦に直すと今年は8月9日に降る雨です。また、七夕の前日に降る雨は「洗車雨」と呼ばれ、彦星が織姫に会いに行くために牛車を洗っている雨と言われています。 曇りや雨の日が多く、暗く陰鬱なイメージのある梅雨ですが、様々な呼び方を付けられてきたことから、私たちの暮らしにもとても関わりが深いということがうかがえますね。 |