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江波山気象館 メールマガジン
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2016年 7月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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風が止むとき 〜凪〜
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 夏の夜、風が弱まり昼の暑さにもまして蒸し暑い時があります。広島の沿岸部などの瀬戸内海沿岸地域でよく知られる「凪」の現象です。特に、この時期の「凪」は、蒸し暑いことで有名です。
 「凪」はどのような状態のことを言うのでしょうか。
 日中は強い日差しのため陸地が海よりも温度が高くなります。この時、地面に接した空気は海面に接している空気に比べ気温が高くなることで軽くなり上昇します。これに伴い海から陸に向かう海風が吹きます。
 これに対して、夜になると、陸地は海に比べて早く温度が下がります。すると、昼間とは逆に、陸から海へと向かう陸風が吹きます。この二対の風を海陸風といい、海風と陸風が入れ替わる朝と夜に、一時的に風が止んだりほとんど吹かなくなる「凪」の状態が起こるのです。
 しかし、街中では、「凪」を感じにくくなっているような気さえします。
 実際の観測データより調べてみました。当館は、気温、風向・風速、日照時間、降水量等の観測を平成15(2005)年から続けています。過去10年間【平成19(2007)年〜27(2015)年】の8月について、静穏(風速0.3m/s以下)と観測した観測回数を1時間ごとに確認します。
 10年間に静穏の観測記録は122回ありました。その時間帯別内訳は、
 1時(13回)、2時(12回)、3時(11回)、4時(8回)、5時(7回)、
 6時(9回)、7時(6回)、8時(10回)、9時(5回)、10時(4回)、
 11時(1階)、12時(0回)、13時(0回)、14時(1回)、15時(1回)、
 16時(0回)、17時(0回)、18時(0回)、19時(2回)、20時(6回)、
 21時(6回)、22時(2回)、23時(5回)、24時(12回)
 です。
 結果は、1時、2時、3時、8時、24時の時間に10回以上観測がある、観測回数は、午後は20時頃から増え始め、夜遅くから未明にかけて増加している、明け方以降は8時の観測回数10回を中心に3時〜11時まで観測がみられるといった傾向がありました。
 風が止んだりほとんど吹かない「凪」が、人々が寝ている時間帯に多いということは、無風で蒸し暑く、とても寝苦しい夜を想像します。やはり、都市化が進み、日中の熱が地面や建物にこもり暑さに拍車をかけ、エアコンの室外機から出る熱のために夜になっても陸地の気温が下がりにくくなっている等、私たちの生活環境の変化が、自然の営みにも影響をしているように思われる観測の集計結果となりました。