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江波山気象館 メールマガジン
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2019年 1月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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空に伸びる飛行機雲
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 雲の名前を挙げてください、と問われたとき、みなさんなら何と答えますか?入道雲や雨雲、わた雲、うろこ雲など、様々かと思います。今挙げた雲は、雲の分類を示す国際雲図帳の十種雲形に分類されている積乱雲、乱層雲、積雲、巻積雲の別名として広く知られています。
 もう一つ、この問いに対して挙がることが多い雲があります。それが飛行機雲です。青い空にまっすぐな線状の雲が伸びているところを、誰しも一度は見たことがあるのではないでしょうか。飛行機雲は十種雲形に分類されていない、特殊な雲の一つです。飛行機の排気ガスの煙と間違われることがありますが、発生の仕方から雲の一種であることが分かります。
 飛行機(ジェット機)は、エンジンから塵や水分が含まれる排気ガスを出しながら空を飛んでいます。飛ぶ高度はおよそ10,000mで、周りの空気は約−40℃〜−50℃です。このような気温が低い場所を飛行機が飛ぶことで、排気ガスの塵が雲の核となり、空気や排気ガス中の水分が塵に集まって雲の粒ができ、高い空に飛行機雲が出来るのです。
 ところで、「飛行機雲がすぐに消えると晴れ、なかなか消えないと雨が降る」ということわざを聞いたことがありませんか?確かに、飛行機雲はすぐに消えてしまうときもあれば、長く留まって流れたり広がったり、巻雲などの雲に変化するときもあります。一体何が違うのでしょうか。
 飛行機雲の様子は上空の空気の状態によって異なります。湿っていて冷たい空気では雲の粒ができやすくなっているため、その空気の中を飛行機が飛び、排気ガスの水分が追加されると長時間飛行機雲が残ります。反対に、空気が乾燥して暖かいと雲の粒は発生しづらく、雲が出来てもすぐに蒸発や昇華をするため短時間で消えてしまいます。
 つまり、飛行機雲がすぐ消えるときには上空の空気が乾燥しているため、雨が降りづらく晴れになりやすく、飛行機雲が長時間残るときには空気中の水分が多く、雨になる可能性が高くなるという、飛行機雲がどれくらい長く残るかの理由に合ったことわざだと言えます。実際には飛行機雲だけで判断することは難しく、飛行機雲が長く留まり、その後薄い雲が空に広がってくるようだと雨が降りやすくなります。
 夏から冬へ季節が変わるにつれて気温が下がり、晴れの日には空気が澄むようになるため、秋冬は比較的飛行機雲を見つけやすい季節です。飛行機のエンジンの数の違いによっては飛行機雲が2本筋のものと4本筋のものがあったりもするので、空に伸びた飛行機雲を見つけた時には観察してみてください。