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江波山気象館 メールマガジン
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2019年 5月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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降水確率 0%でも雨が降る?
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 沖縄地方、奄美地方はすでに梅雨入り、中国地方も6月に入るとまもなく梅雨の季節が始まります。洗濯や外出、屋外での作業やスポーツなど気になるのが“降水確率”。
 気象庁が発表している“降水確率” (正式には降水確率予報といいます)。1980年(昭和55年)に東京地方(東京都のうち伊豆諸島・小笠原諸島を除く地域)を対象に始まり、1986年(昭和61年)の3月から全国で降水確率が発表されるようになりました。 “今日は傘を持っていくかどうか?”を決める際の参考にするなど、なじみがありますね。気象庁が2015年(平成27年)に実施した「気象情報等の利活用に関する調査」でも“降水確率”を重視する割合が92.9%と私たちの生活に定着していることが伺われます。
 しかし、一方で「“降水確率”をあてにして雨に降られた。」とか「“降水確率”が高かったのに雨が降らなかった。」、「そもそも“降水確率”50%ってどういう意味?」などさまざまなお声をいただきます。今回は、「急に雨に降られて困った!」とならないためにも、降水確率を理解し、上手に利用するために降水確率の意味を今一度確認してみましょう。
“降水確率”は気象庁の天気予報で今日、明日については0時から6時、6時から12時、12時から18時、18時から24時の6時間ごとの時間区分で、また週間予報では0時から24時の24時間について発表されます。0%から100%まで10%刻みで発表されます。
 たとえば、広島県南部の12時から18時までの“降水確率”30%とは、広島県南部の範囲のうち30%の面積で雨が降るというように思われている方もおられるかもしれませんが、実際には広島県南部全域での雨の降る確率を示していて、面積の割合でありません。広島県南部といっても沿岸部から内陸部まで、また平地もあれば山沿いの場所もあります。雨の降り方と地形や立地は大きく関係していて、同じ“降水確率”の対象地域の中でも雨の降り方には差があることも知っておきましょう。
 “降水確率”の数字に話を戻しましょう。“降水確率”は30%という“降水確率”が100回発表された場合に30回は予報の対象地域で1ミリ以上の雨が降るということになります。“降水確率”はよく野球選手の打率に例えられることがあります。3割バッターはヒットを打つ割合が3割=約30%です。割合からすれば3打席から4打席に1回はヒットを打つといえますが、実際には100打席のなかでは10打席連続でノーヒットのこともあれば10打席連続でヒットの場合もあります。“降水確率”50%の場合も50%だから2回に1回は雨が降ると考えると、前回雨が降らなかったら今回は雨となりそうですが、実際には50%の予報が続いても雨が降らないこともあるのです。
 “降水確率”10%刻みで発表されますから、ちょうど10%や20%にならない場合は四捨五入されます。つまり“降水確率”5%未満は0%として、95〜99%は100%として発表されます。0や100でも完全に0%や100%ではない場合もあるということになります。
 もう一つ、“降水確率”で気をつけておかなければいけないのが、“1ミリ以上の雨が降る確率”であるということです。つまり雨が降っても雨量計がカウントできないような量であったり、雨量計がカウントできる0.5ミリ以上でも1ミリ以下の場合などは“降水確率”の対象とならないのです。
 広島(広島地方気象台)での降水量について2009年から2018年の10年間について1ミリ以上の雨が降った日数と0ミリから1ミリ未満の雨が降った日数についてみてみると0.0ミリ以上の雨が降った日数が2122日、うち1ミリ以上の雨の降った日数が926日、よって1ミリ未満の雨が降った日数は1196日と以外に多いことがわかります。ひと月に1ミリ未満の雨が降った日数を見てみると15日以上あった月が120ヶ月中19回、10日以上あった月は58回もあります。1ミリ未満の雨の日数が1ミリ以上の雨の日数より多い月についても68回と10年間の半数以上になります。
 1ミリ未満の雨は“降水確率”の対象となっていないため、発表された“降水確率”が0%であったことも考えられます。 “降水確率”10%も100%も降る雨の量は1ミリ以上。降る雨の量全体の大小は予想されているわけではありません。10%でも大雨、100%でも小雨の場合の可能性もあるということになります。
 雨に濡れることの影響は人それぞれです。一般的には1時間に1ミリの雨は地面がかすかに湿る程度、傘はいらない程度とされていますが少々の雨なら濡れても大丈夫なこともあれば、少しでも濡れると困ることもあります。
 降水確率の意味を知って、上手に利用しましょう。