△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ |
2019年 8月号 |
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ |
広島市江波山気象館から 気象に関するさまざまな情報をお届けします。 |
https://www.ebayama.jp |
============================================================================ |
台風の発生と成長 |
============================================================================ |
今月15日、台風第10号が広島県呉市付近に上陸しました。広島県に台風が上陸したのは、1990年の台風第14号以来29年ぶりのことでした。 台風は、年間を通して発生していますが、台風発生数の平年値(1981年〜2010年の30年間の平均値)を見ると、年間の発生数は25.6個で、月別では1月(0.3個)、2月(0.1個)、3月(0.3個)、4月(0.6個)、5月(1.1個)、6月(1.7個)、7月(3.6個)、8月(5.9個)、9月(4.8個)、10月(3.6個)、11月(2.3個)、12月(1.2個)と8月の発生数が最も多くなっています。今月も27日に5つ目の台風第12号が発生しました。私たちの生活に大きな影響や被害をもたらす台風ですが、どのような場所で発生し、どのように成長するのでしょうか。 熱帯の海上で発生する低気圧を熱帯低気圧といいます。この熱帯低気圧のうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の地域)または、南シナ海で最大風速が秒速でおよそ17m以上のものを台風と呼びます。熱帯低気圧が発生するためには、多くの水蒸気が供給されることと、上昇気流ができやすいことが必要です。 熱帯地域の海上では、太陽からの日差しも強く、海水温も一年を通して高い状態で、多くの水蒸気が発生します。また、赤道付近には熱帯収束帯と呼ばれる地域があります。この地域は、北からの風(北東貿易風)と南からの風(南東貿易風)がぶつかることで上昇気流ができやすくなります。海水面から供給された多量の水蒸気と上昇気流により積乱雲が発生し、地球の自転の影響を受けて反時計回りに多数まとまって渦を巻くようになり低気圧が発生します。これが台風の卵である熱帯低気圧です。 発生した熱帯低気圧は、北向きの風に流されるように北上しますが、その間も暖かい海水面から水蒸気の供給を受けます。 水蒸気から雲粒(水の粒)に変わるとき熱(凝結熱)が発生します。この熱が周りの空気を暖め、上昇気流はさらに勢いを増します。これに伴って熱帯低気圧の風速も速まり、最大風速が秒速17mを越えると台風と呼ばれるようになります。 その後も台風は、暖かい海水面から供給される水蒸気をエネルギー源として発達し、中心付近の風速も強くなります。そして、勢いを増した台風は、中心の気圧が下がり、最大風速が最も強くなります。 こうして日本付近までやってくる台風ですが、海水温が低いと供給される水蒸気の量が減り勢力が弱まり、海水温が高いままだと供給される水蒸気も多く台風の勢力も強いまま日本に近づきます。 さらに台風の北上に伴い、上陸による陸地との摩擦の影響や、海面水温が低い地域まで移動することで、水蒸気の供給量が少なくなったりすることで、最大風速が弱まり熱帯低気圧に変わります。また、寒気が流れ込むことで、台風の性質を失い温帯低気圧に変わる場合もあります。 台風の勢力が衰え、熱帯低気圧や温帯低気圧に変化したからといっても気を付けなければいけません。低気圧である以上引き続き、消滅するまでは強い雨や風、波浪、高潮への注意は必要なのです。 9月も8月と同じように、台風の影響を受けやすい時期です。日々の天気情報など最新の情報に注意をしながら、台風への備えも怠らないようにしておきましょう。 |