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江波山気象館 メールマガジン
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2019年 9月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ

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広島市江波山気象館から
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秋の空
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 「天高く馬肥ゆる秋」ということわざもあるように、秋の空というと澄み切った青 く高い空をイメージします。秋の空が高く見えるのはなぜでしょうか。
 日射量(太陽からの放射エネルギー量)の影響について考えてみましょう。9月も 下旬を過ぎると、朝晩は、寒くさえ感じることが多くなります。夏に比べ、秋から冬 にかけて太陽の沈む時間も早まります。また、日射量も減り気温が下がると、夏の気 温が高い時期に比べ、空気の対流が起こりにくくなります。この影響で地面近くの砂 やほこりを含んだ空気は、空高く上昇しにくくなり、地面近くにとどまることが多く なると考えられます。
 では、春の空は高く見えないのでしょうか。春は黄砂の飛来によって視界が悪くな ります。黄砂は、東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠など)で、風によ って数千メートルの高度まで吹き上げられた土や砂が、偏西風に乗って日本に飛来し 空気中に浮遊したり降下したりする現象です。冬から春へ季節が移る中、砂漠を覆っ ていた雪や氷が融け、土や砂が舞い上がりやすくなります。
 黄砂の観測日数【国内50か所の観測地点の中で黄砂を観測した日数(1981〜2010年 平年値)】を調べると、冬【12〜2月(1.1日)】、春【3〜5月(6.6日)】、夏【6〜 8月(0.1日)】、秋【9〜11月(0.2日)】と、春に観測されることが多いことがわか ります。夏から秋にかけては、雨の影響や地面を植物に覆われるなどによって、土や 砂が地面から舞い上がりにくくなります。そのため、秋は春に比べ、日本に飛来する 黄砂も減少し、空気は澄み空が高く見えるのです。
 このようにすがすがしい秋の空ですが、どれくらいの確率で晴れるのでしょうか。 気象庁より発表されている広島の天気出現率【1981〜2010年30年間の観測値】の中で、 晴れの日【1日の降水量が1.0ミリ未満で、日平均雲量が8.5未満の日】のお天気出現 率(月の平均値)を季節ごとに調べてみました。結果は、冬【12〜2月(53.2%)】、 春【3〜5月(54.9%)】、夏【6〜8月(49.9%)】、秋【9〜11月(63.0%)】と観 測結果からも、秋は他の月と比べ晴れの日が多いことがわかります。
 また、秋の空には、巻雲や巻積雲など、空の高いところにできる雲が見られること が多いです。夏は積雲など、巻雲や巻積雲よりも低いところにできる雲がよく見られ ます。このように秋は夏に比べ、高いところにできる雲が多いということも、空が高 く感じられる理由の一つとして考えられます。
 しかし、秋といえば台風や秋雨前線の影響で、天気が崩れることも多いです。移動 性高気圧により青空は現れても、数日の周期で天気が変わります。スポーツの秋、行 楽の秋など、外出の機会も増える時期です。最新の気象情報の入手が欠かせません。