江波山気象館 メールマガジンお天気かわらばん

2020年  6月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ
広島市江波山気象館から気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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▲▽ 梅雨の別名 ▲▽

自宅の梅の木の実が熟して黄色く色づき、庭に落ちていました。
梅雨の由来の一つに、「梅の実が熟す頃の雨」がありますが、梅雨の別名に「黄梅雨(きつゆ・きづゆ)」というものがあります。梅の実は最初は緑色ですが、熟してくると黄色くなります。そこで、梅雨の別名についてもう少し調べてみると、ありました「青梅雨(あおつゆ)」。しかし、その意味は青梅のことを指すのではなく、「木々の青色を鮮やかに色濃く見せる雨」のことだそうです。
今回は梅雨の別名についてみてみましょう。
「五月雨(さみだれ・さつきあめ)」:旧暦の5月ごろに降る長雨。
「五月晴れ」も本来は梅雨の晴れ間を指す言葉だったものが、現在は新暦の5月の晴れを指すように使われています。断続的に続くさまを「さみだれ式」といいますが、この言葉ものように降ったりやんだりを繰り返して長く続く梅雨の雨の降り方からきているそうです。
「水取雨(みずとりあめ)」・「田植雨(たうえあめ)」:田植えには水が必要であることから、田植えの頃の雨。
「麦雨(ばくう)」:麦の穂が育ち実る頃の雨。田植えには必要な雨も収穫前の麦にとっては大敵なのだそうです。
「土用雨(どようあめ)」:もともとは立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を指す土用。今では夏のイメージが強く、土用雨も夏の土用に降る、梅雨末期の雨を指します。梅雨の末期の雨は大雨になることが多く注意が必要です。
「荒梅雨(あらつゆ)」・「暴れ梅雨(あばれづゆ)」:梅雨の後期には災害をもたらす大雨となることが多いことを表した言葉です。
「返り梅雨(かえりづゆ)」・「戻り梅雨(もどりづゆ)」・「残り梅雨(のこりづゆ)」:梅雨が明けたと思っても、また雨が降り続くことがあります。
同じ梅雨を表す言葉にもさまざまな意味が込められていますね。日本語の表現の豊かさを改めて感じます。
気象庁では沖縄地方は6月12日ごろに梅雨が明けたと発表しました。その他の地方はこれから7月にかけて梅雨明けを迎えます。土用雨や荒梅雨、暴れ梅雨などのように梅雨明け前には大雨となり災害も発生しやすくなります。
今年は、いつもの年よりも避難には注意が必要です。指定された避難所だけではなく、安全な知人宅や親せき宅を調べておくなどの準備も心がけましょう。安全な場所での車中避難も選択肢の一つですが、肺塞栓症(ロングフライト血栓症・エコノミークラス症候群)に注意しましょう。