江波山気象館 メールマガジンお天気かわらばん

2020年 9月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ
広島市江波山気象館から気象に関するさまざまな情報をお届けします。
https://www.ebayama.jp

▲▽ 今日は何の日? 伊勢湾台風(61年前) ▲▽

今日、9月26日は今から61年前の1959年(昭和34年)に愛知県や三重県などを中心に死者4,697名、行方不明者401名、負傷者38,921名、住家全壊40,838棟、半壊113,052棟、床上浸水157,858棟、床下浸水205,753棟(気象庁HP)などを出した伊勢湾台風が上陸した日です。
1950年代には、この年の伊勢湾台風以外にも、9月26日は、1954年(昭和29年)の洞爺丸台風、1958年(昭和33年)の狩野川台風など大きな被害を出した台風が続いたことから「台風襲来の日」や「台風の特異日」とされてきました。
伊勢湾台風というと、今年の9月6日から7日に九州地方に接近した台風10号について、気象庁は特別警報級の勢力まで発達して接近または上陸するおそれがあるとして警戒を呼びかけましたが、台風等を要因とする特別警報の発表基準は中心気圧930hPa以下又は最大風速50m/秒以上で「伊勢湾台風級」と表現されています。
伊勢湾台風は9月26日の午後6時過ぎに和歌山県潮岬に上陸した際の気圧は最低海面気圧929.2hPaを記録し、愛知県の伊良湖では最大風速45.5m/秒を記録しました。
近年の気象災害では大雨による土砂災害や河川の増水による浸水害が目立ちますが、伊勢湾台風による犠牲者の83%が愛知県、三重県の伊勢湾に面した地域に集中し、その主な原因が高潮によるものでした。
当時の伊勢湾の高潮対策の前提となっていた既往最高潮位を1m近く上回りました。一方で海抜0メートル以下の低平地に市街地が広がり日本最大のゼロメートル市街地化地域でありながら、大正時代以降大きな高潮が発生していなかった地域であったことで、高潮に安全な湾と誤解されていたところへ想定外に発達した台風の襲来によって未曾有の高潮が発生したことで被害が大きくなったとされています。(災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成20年3月 1959 伊勢湾台風)
情報が発達し科学技術の進歩により、天気予報の精度は上がり台風の進路予想の精度も向上した現代においてもなお、想定外の暴風や大雨により災害が発生します。
自然災害は「これまで経験をしていないから大丈夫」ではなく、「いままでは大丈夫だったけれど」という考えで備えることが大切です。