江波山気象館 メールマガジンお天気かわらばん

2020年10月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ
広島市江波山気象館から気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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▲▽ 11月11日は公共建築の日 ▲▽

来月11月は公共建築月間、そして11月11日は公共建築の日です。
建築の基本的な構造を象徴する4本の柱のイメージと国会議事堂が11月11日に完成したということから11月11日が公共建築の日となったそうです。
現在は気象の博物館となっている江波山気象館は広島地方気象台(建築当時は広島県立広島測候所)の旧庁舎です。
昭和9(1934)年に広島県立広島測候所として建築され、昭和14(1939)年に国営移管、昭和62(1987)年12月に広島市中区上八丁堀の合同庁舎へ移転しました。
建物は鉄筋コンクリート造りで、戦前の建物の特徴と新しいモダンなデザインをあわせもつ、建築技術的、デザイン的にも非常に優れた建物です。
戦前の鉄筋コンクリートの建物は太平洋戦争のため、昭和14年ごろを境にその建築が行われなくなります。このことから、旧広島地方気象台は戦前の鉄筋コンクリートの建物としては最末期のものといえます。
戦前の建物の特徴である縦長の窓は明治期レンガ造りの建物の特徴を引き継いだものです。
また、建物の外壁にみられる人造石洗い出し仕上げやリシン掻き落とし仕上げ、内部の床面や階段手すりなどの人造石研ぎ出し仕上げなどは、労力と時間をかけて丁寧に造られた建物であることを示しています。
一方で、これまでの建物の顔として重厚に造ることが主流であった玄関ポーチのひさしを薄くした造りや、2本の柱で支えることが当たり前であったものを片方の柱だけで支えるなど斬新なデザインは当時の人々を驚かせたに違いありません。屋上部分の観測塔へ登る階段にみられる壁面から突き出した片持ちの構造などは、それまでのレンガ造りでは考えられなかったものが、鉄筋コンクリート技術の進歩によって可能となったことを物語っています。
さらに、観測塔の周囲に巡らされた尖塔アーチ状の穴は、屋上の防水構造上非常に重要なところにあけられています。あえて挑戦的ともいえる設計をした技術者やそれに応えた職人たちの技術の高さがしのばれます。
今では多くの気象台庁舎が広島と同様、合同庁舎などへ移転していますが、愛媛県の松山地方気象台(昭和3(1928)年建築)、神奈川県の横浜地方気象台(昭和2(1927)年建築)、滋賀県の彦根地方気象台(昭和7(1932)年建築)などは、今でも現役の気象台庁舎として使用されており、松山地方気象台は国の登録有形文化財、横浜地方気象台は横浜市指定有形文化財になっています。
江波山気象館も広島市の重要有形文化財として登録されているほか、広島県の魅力ある建築100セレクションに選ばれています。
広島県では11月20日〜23日にひろしまたてものがたりフェスタ2020が開催され、県内の特徴的な建物の特別公開などが行われます。江波山気象館でも、11月22日に文化財建物ガイドを開催します。ご興味のある方は、江波山気象館ホームページをご覧ください。
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