江波山気象館 メールマガジンお天気かわらばん

2020年11月号
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ
広島市江波山気象館から気象に関するさまざまな情報をお届けします。
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▲▽ 平年値と平年並 ▲▽

昨日11月25日に気象庁から12月〜2月までの天候見通しとして3か月予報が発表されました。中国地方の平均気温は平年並(低い確率が40%、平年並の確率が30%、高い確率が30%)、降水量は中国地方山陽側で平年並か少ない(少ない確率が40%、平年並の確率が40%、多い確率が20%)見込みです。特に今シーズンの冬は、ウイルス感染症の感染リスクに与える気温低下の影響も気になるところです。
ところで、「平年並」とはどれくらいの幅を持っているのでしょうか。気象館にも時々お問い合わせをいただきます。「平年並」という言葉を説明するために、まず「平年値」と「平年差・平年比」について説明します。
気象庁で使われる「平年値」とは、西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値を「平年値」とし、10年ごとに更新されます。現在は、1981〜2010年の観測値による「平年値」が2011年5月18日から使われています。現在は2020年ですから、予定通りならば、来年(2021年)には新しい「平年値」が使われ始めることになります。
「平年差」は、ある期間の気候の特徴や平年との違いの程度を表すために使われる、観測値や統計値と平年値との差のことです。 平年値より大きい(高い)場合は正、小さい(低い)場合は負とし、「+」あるいは「-」の記号を数値の前に付けて使われます。「平年比」は、降水量や、日照時間などある期間に積算(合計)される観測値や年々の統計値の平年値に対する比のことで、%で示されます。
「平年値」と「平年差・平年比」を説明したところで、「平年並」について説明します。
3カ月予報などの季節予報で「高い(多い)」、「平年並」、「低い(少ない)」の階級に入る数値は、現在の「平年値」に対する「平年差・平年比」が、3つの階級に等しい割合で振り分けられる(各階級が10個ずつになる)ように決められています。 また、数値が30年間の観測値の下位または上位10%に相当する場合には、「かなり低い(少ない)」「かなり高い(多い)」と表現されます。
中国地方における冬の平均気温の「平年並」の範囲は「平年差」が0.0〜+0.6℃の範囲、広島の平均気温では6.0〜6.6℃、中国地方山陽側の降水量の「平年並」は「平年比」が74〜113%の範囲で、広島の降水量では120.3〜174.5mmとなります。2019年12月〜2020年2月の広島の平均気温は7.5℃、降水量は185.5mmでしたので、今シーズンの冬は昨シーズンに比べて気温は低く、降水量は少ない見込みということになります。
予報には不確定性がありますので、季節予報を参考にしながら常に新しい予報にも注目し、寒さ対策、健康管理に努めましょう。