江波山気象館 メールマガジンお天気かわらばん |
2021年1月号 |
メールマガジン版江波山気象館情報しおかぜ |
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▲▽ 日本海側と太平洋側の雪 ▲▽ |
1月の広島の雪またはみぞれが降った日数は昨年(2020年)が0日だったのに対して、今年(2021年)は9日(28日現在)です。 県北の八幡の積雪量も昨年の最深積雪が数cmであったのに対して、今年は100cmを超える日もありました。 今年は雪の話題も多く聞かれるように思えます。 雪の降る原因は、西高東低の冬型の気圧配置のときに大陸から吹き出す寒気と日本海からもたらされる水蒸気によって発生する雪雲によるものがよく知られています。この場合、太平洋側でも雪が降ることもありますが、多くは雪雲が脊梁山脈を越える際に雪を降らせて、雲が無くなると太平洋側では雪が降らない場合もあります。 太平洋側に雪を降らす原因には、もう一つ日本の南側の海上を通過する低気圧によるものがあり、この低気圧は「南岸低気圧」と呼ばれます。 大陸からの寒気の場合は、寒気が強いほど大雪になりやすいですが、南岸低気圧による場合は、低気圧が太平洋側の沿岸からどれくらい離れたところを通るかによって、雪となる場合と雨となる場合があります。低気圧が近づくと降水をもたらす雲が発生しやすくなりますが、低気圧には中心に向かって反時計まわりに風が吹き込むため、低気圧の北側からは冷たい空気が吹き込みます。一方で低気圧の南側からは暖かい空気が吹き込みます。 このため、低気圧が沿岸に近づきすぎると暖かい空気により降水があっても雪ではなく雨となる場合があるのです。 したがって南岸低気圧による雨雪の予想は難しいといわれています。関東地方では普段から大雪が降ることは少なく、わずかな雪でも交通機関などに大きな影響がありますが、南岸低気圧が八丈島に対してどの位置を通過するかによって雪か雨かの予測をする目安があります。 「低気圧が八丈島より北側を通過する場合は低気圧の中心が関東地方に近づきすぎるため、暖かい空気も入りやすく雨のことが多く、八丈島付近を通過する場合は雪になることが多く、南側を通過する際は低気圧による降水域が関東地方にかかりにくくなるため曇となりやすい。」というものです。もちろんその他の要因も関係しますが、おもしろい判別方法ですね。 1月28日夜から29日にかけては中国地方をはじめ日本海側は雪の予報。日本海上の発達した低気圧と西高東低の強い冬型の気圧配置によるもので大荒れの恐れも。ご注意ください。 |